私たちにおいしいミルクの恵みを与えてくれる乳牛。その乳牛は人間の手で改良が重ねられ、現代では一頭が一年に数千リットルものミルクを産乳します。日本では白黒模様のホルスタイン種がおなじみ。世界には環境や用途に合わせ、いろいろな乳牛が飼育されています。
世界中に何頭くらいの牛が飼育されていると思いますか? 肉牛を含め世界で13億8千万頭(2006年統計)です。最も多いのはブラジルで2億1千万頭。以下インド、中国、アメリカの順。日本はぐっと少なくて440万頭。うち乳用牛は163万頭です。
日本には北海道を中心に3万1千戸の酪農家があり(平成14年農林水産省統計)、その数は年々減少しています。反面1戸あたりの乳牛頭数は増えており、平均50頭を越えています。酪農の本場フランスやオランダでも1戸あたり30〜45頭ほど。イギリスで約70頭。日本でも北海道では90頭を越えていますから、規模の面ではヨーロッパを凌いでいるといっても過言ではありませんね。
日本の乳牛のほとんどは人間の手による人工授精で妊娠し、子牛を産みます。子牛は13〜16ヶ月成長すると、最初の種付けをして妊娠します。妊娠期間は約10ヶ月。つまり産まれてから2年位で自分も母牛となり、乳を出すようになるのです。
●哺育期(ほいくき)
子牛は産まれると母牛と離され、子牛用の小屋で育てられます。生後1週間は母牛の初乳を飲んで抗体をもらい、細菌やウィルスから身を守ります。初乳というのは出産したばかりの母牛の乳で、その後の乳とは成分が異なり、子牛に免疫力を与える成分を含んだスーパーミルクです。
日々、写真や動画で
子牛の成長記録が
ご覧いただけます。
●育成期(いくせいき)
子牛は生後2ヶ月で離乳。生後13〜16ヶ月で最初の種付けをします。離乳から種付けまでの間の牛を育成牛と呼びます。いわば牛の青春時代。この期間だけ育成牛専用の牧場で放牧して育てることもあります。
●泌乳期(ひにゅうき)
種付け後妊娠、出産した牛はその後280日〜300日の間毎日搾乳します。50日〜110日頃が最もたくさんの乳を出し、その後徐々に減り始めます。出産後40〜60日たったら次の種付けをし、大体1年に1回分娩するようにします。
牛の胃袋は4つ。羊やヤギも同じ反すう動物で胃が4つあります。4つのうち最も大きいのは第1胃で成牛で約200リットル、牛乳パック200個分の容量です。食べた餌はまずこの第1胃で胃の中の微生物によって分解され発酵します。ある程度分解されると次に第2胃、第3胃でさらに細分化。第4胃では消化液が分泌して消化され、栄養分が吸収されます。
牛は一度食べた餌を口に戻してはすりつぶし、また飲み込む「反すう」の習性があります。1日の反すう時間は6〜10時間で、1分間に40〜60回はモグモグ。分泌される唾液も1日で実に90〜180リットル。反すうによって消化を助け、胃の中の微生物の働きも活発になります。
●乾乳期(かんにゅうき)
搾乳を始めて280日〜300日たったら搾乳を止め、次の分娩に備えて60〜90日間休ませます。この期間の牛を乾乳牛といいます。1頭の牛は分娩、泌乳、乾乳のサイクルを3、4回繰り返し、大体5〜6年でその役目を終えることになります。
乳牛の大きさは成牛で体高約150cm、肩からお尻までの長さは約170cmくらいです。体重は600〜700kg。軽自動車1台くらいの重さですね。一日に食べる量は青草だと50〜60kg程度、乾草や穀物などを混ぜたもので15〜30kg。そして一日に20〜30リットルの乳を出します。フンの量も一日20〜40kgと半端ではありません。尿も6〜12リットルは排出します。